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2020年6月5日

第12回『株式市場レポート6月より抜粋』

欧米、及びアジア諸国での段階的な経済活動再開を受け、7-9月期以降の急速な景気・企業業績の回復を織り込む形で、内外の株式市場は4月に引き続き5月も続伸しています。米国株式市場を中心に新型コロナウイルスショックで急落した3月の底値からは大きく反発し、特に5月第4週からは急伸しています。

NYダウは3月23日の安値18,213.65ドルから5月29日には25,383.11ドルへと39.4%の上昇となり、2月12日につけた史上最高値29,568.57ドルからの下落分の63.1%を回復した形となっています。

同様に、日経平均は3月19日の安値16,358.19円から5月29日には21,877.89円へと33.7%の上昇となり、1月17日につけた年初来高値24,115.95円からの下落分の71.2%を回復しました。

このような株価急反発の一方で、7-9月期以降もコロナ前の状態に消費や生産が戻ると想定することは難しく、回復も限定的になると思われること、また第2波が到来するリスクや米中の対立激化が見込まれるなど、外部要因も不透明な中において足元の市場は実態以上に上昇している可能性があります。

要因としては、世界各国による空前とも言える大型の経済対策と超金融緩和政策により、過剰流動性=大量の余剰資金が世界中のマーケットに滞留することで、それが株価を押し上げている面が強いと考えられます。

5月29日時点でのNYダウのPERは21.44倍と、直近1年間の中心レンジである17倍~21倍を上回る水準にあります。
日経平均株価では、5月29日時点でPBRが1.07倍とBPS(一株当たり純資産価値)20,446.63を上回り、PERは20.7倍と20倍を超えた水準にあります。

本レポートでは従来、各国金融市場における重要な要因のうち、注視すべき項目として、①米中貿易摩擦、②米国の金融政策、③各国の景気及び企業業績、④英国のEU離脱問題、⑤米大統領選挙、⑥地政学的リスク、⑦新型コロナウイルスの感染拡大の7つの要因に注目してきました。

引き続き⑦の新型コロナウイルスの感染拡大については経済活動再開に伴う感染再拡大の可能性に加え、現在も感染者数が増加中のブラジル、ペルー等の南米、中東、アフリカ諸地域の状況も注視していく必要があります。

今後、再び懸念されるのが、①の米中貿易摩擦です。両国の対立はもはや貿易問題に限らず、中国の新型コロナウイルスへの対応に加え、香港への国家安全法導入など政治的色彩を伴うことで、米中関係の一段の悪化は避けられそうにない状況にあります。

5月29日のトランプ米大統領の会見では、警戒されていた中国高官対象の制裁や旅券発行制限に関する言及がなく、また米中間貿易協定第1段については続行される見通しとなるなど、新たな強硬策には言及されませんでした。
しかしながら、トランプ米大統領が香港に対する優遇措置を撤廃する方針を示したことを受け、中国政府が国有企業に対し米国からの大豆と豚肉の輸入を停止するよう指示するなど、双方の敵対的な応酬が再開されつつあり、今後の両国の動向は注視していく必要があります。

また③各国の景気及び企業業績については、2020年7-9月期の回復が市場の期待通りのペースで進んでいくかについて注視していく必要があり、回復が緩慢な場合には、株価のバリュエーションの割高感が鮮明となるリスクも出てきます。

⑤米大統領選挙については、共和党の現職トランプ大統領と民主党のバイデン元副大統領の対決となります。全国規模の主要調査をみると、バイデン氏はトランプ氏を平均で6-10ポイント程度上回っている模様ですが、11月の本選に向けて予断を許さない状況にあります。
民主党勝利と言う事になれば、内政、外交共に重大な変化や影響がもたらされる可能性もあり、こちらの動向も要注目です。

当面の投資戦略としては、2020年7-9月期以降の主要各国の経済・企業業績がV字型回復に転じるという、市場が想定しているシナリオに変調が生じるか否かに注視していく必要があります。

現在の株価は景気・企業業績の回復を既に相当程度織り込んだ水準にあると考えられます。市場は目下のところ大量の余剰資金に支えられていますが、今後新型コロナウイルスの感染が再度増大する(第2波、第3波の到来)、あるいは米中間の緊張がさらに高まるなどの事態となれば、大幅な調整を迎える可能性もあります。

また黒人男性の死亡事件をきっかけとした米国での抗議活動の暴徒化を防ぐため、トランプ米大統領は州や市が適切に対応しない場合には米軍を投入することを示唆しており、これらの動向も気に係るところです。

以上により、過剰流動性による株価の一段の押し上げも想定できますが、現状の株価はフルバリュエーション=割高の水準にまで上昇している可能性があり、マネーゲーム的な様相も見られます。これからの買いについては一層冷静かつ慎重なスタンスが求められるものと考えております。

― JIA証券 株式市場レポート6月号より抜粋 ―

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