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2022年3月1日

【第21回】『2022年3月 マーケットレビューと今後の見通し』

<2月のマーケットレビュー>

2022年2月の国内株式市場は前月末比、日経平均株価▲1.75%、マザーズ指数▲4.27%、米国株式市場はNYダウ平均▲3.52%、S&P500▲3.13%、ナスダック▲3.43%となった。

2月上旬は1月の急落からの回復を見せていたが、米国での1月の失業率低下などの統計発表を受けてインフレ継続への懸念が強まり、金利の上昇とともにNYダウ平均株価は2月10日と11日の2日間で1,000ドル以上売られ、これを受けた日経平均株価は14日、15日の2日間で約830円安(約▲3%)まで売られた。この2日間でTOPIXも2%以上、マザーズ指数は6%以上の下げとなった。その後もウクライナ問題などを受けて続落している。
マザーズ指数は既にコロナショック前を下回っていることから個人投資家へのダメージは大きいとみられ、IPO市場にも影響が広がりつつある。ウクライナでの戦争も大きな重石になっており、時価総額規模にかかわらず米国市場に比べて日本株の相対的な弱さが際立つが、当面はこの状況に変化は無さそうである。

米大手金融の一部ではFRB(米連邦準備理事会)の利上げ見通しを年内7回に引き上げ、3月中に0.5%の引き上げもあるとのコメントも増えてきた。

日本株の耐性の弱さが再確認される展開であり、特に個人に人気の中小型株は売られ易くなっている。
先月のレポートにも書いた通り、足元発表されている企業実績に照らしても短期的には売られ過ぎと思われるが、依然として需給の悪い展開が予想される。
資源高・材料高についても、またサプライチェーンのボトルネックの解消についても依然として不透明であり、今年の景気動向は読み辛い。

食品などの小売価格は今年に入ってから続々と値上げの動きが出ている。
昨年から懸念していた通り、生産者物価が徐々に消費者物価に反映され始めているが、これらの浸透度合い、それに見合う所得の増加がみられるのかなど、内需企業の業績には資源高の悪影響がこれから出てくることになる。
資源の大半を輸入に頼る日本は資源高の悪影響がストレートに交易条件の悪化に繋がる。昨年末の輸入物価は40%を超えており、2008年頃のように円高で吸収する余地も少ないため、この影響は消費者物価に転嫁されるか、または企業業績の悪化のどちらかになる。

<今後のマーケット展望>

リーマンショック以降、日本ではGDPの成長が無い中で企業業績は伸びていた。
つまりGDPは企業利益と労働者収入の和となるのであるから、円安により大手輸出企業の業績拡大はあったものの、全体では労働者への分配が削られていたことになる。
企業利益予想については、内需の強さなどに常に気を配りながら全体像を見通さねばならない。新年度の利益見通しについて、昨年末頃には過半のエコノミストが10%程度の増益予想をもとに、2022年度株価の高値予想を日経平均株価で30,000円以上(中には35,000円以上も!)の予想が散見されたが、資源高による交易条件の悪化や賃金が伸び辛い国内労働市場の構造、及び低いままの潜在成長率への考察を欠いたものと言わざるを得ない。

株式市場の懸念材料は昨年から変化無く、1.米国金利の動向、2.中国不動産業界の過剰債務問題やハイテク業界への規制強化、3.主要国間の政治的摩擦、4.資源価格の高騰・・・等々である。これにウクライナ問題が加わった。

FRB(米連邦準備理事会)の動向に市場が敏感となっており、3月までの資産買い入れの停止とともに、次に来る資産の圧縮(QT)時期が注目される。短期市場は既に6回程度(先月末は約4回)の利上げを織り込んでおり、3月の利上げ幅が0.25%ではなく0.5%になるとの観測が強まっている。
ウクライナでの戦争の行方も不透明であり、先月も記述した通り、最短でも3月中旬のFOMC開催(15日~16日)頃までは不透明感が続くと予想する。

資源高と需要増、及び供給のボトルネック等による物価上昇により欧米での高いインフレ率の発表が続いているが、ここに来て中国景気の鈍化傾向がみられるようになってきたし、欧州では戦争が始まった。不透明感が強いため当面は慎重に対応したい。

日本経済についても春以降には資源高の悪影響がストレートに効いてくる。今期2022年3月期の業績については概ね好感できる着地になりそうだが、コストプッシュ型のインフレが続くようであれば消費の減退は避けられない。

新年度の景気の不透明要因により株価の上値が抑えられており、米国の市場金利見通しも利上げ回数が増えるなど株価にはアゲインストとなっている。個人投資家に人気の中小型銘柄では割安感から多少買われても直ぐに売り物に押され値を崩す状態が繰り返されている。投資資金が市場から逃げだしている状況であり、アルゴ取引でのトレンドフォロー型の売買により売り崩されている。

加えて、2月24日にはロシア軍がウクライナへ戦争を仕掛けた。
世界平和のために設立された国連安保理の常任理事国が武力で劣る近隣国を侵略するなど、流石に想定外のことが起こった。自国内での政権維持のために他国を侵略するなどと言う事がこの21世紀になっても起こったことに市場は動揺している。
中国が台湾を攻撃する可能性があることは周知の事実であるが、このような異常事態が東欧でも現実になったことで一層先が読みにくくなっている。本日までのニュースを見聞きする限り、いずれ何処かで落としどころが決められるものと思われるが、この戦争により資源高が長引き、且つ世界景気にも悪影響を与える要因となる。

これらの要因により向こう3ヶ月間の想定株価を日経平均株価で26,000円~29,000円と、前月から下値目途を1,000円ほど引き下げる。但し、日本株は既に割安圏に入った銘柄が多いことには注意が必要。

<投資戦略>

投資戦略は以前と変わらず、将来性が見込まれる業種や事業(脱炭素など環境関連事業、EV、DX)といったテーマで選別することが重要であるが、ウクライナ情勢や米国の利上げの方向性が見えるまで(3~4月頃)は慎重なポジションを推奨する。

足元の円安傾向も不透明である。資源高により貿易収支は赤字基調となっており、所得収支の増加により経常収支が黒字を維持していることなどから、日本も成熟した債権国になってきたと言える。一方で実質実効為替レートは既に1970年代前半水準の円安となっており、資源高や円安に起因して消費者物価が上昇する場合には内需の重荷となる。

専門家が指摘するように景気が好調であるなら多少の利上げは心配無いが、注意すべきはFRBの資産圧縮(QT)のタイミングである。圧縮が始まれば市場から資金が吸い上げられることで株価の調整が続くことになる。
米国の2年物金利は既に1.5%を超えてきており、長短金利の動向次第では米国S&P500指数は昨年初旬頃の4,000ポイント水準までの下落も有り得る。

当面は上述の環境下(金利が上がらないと想定されている国内市場で)日本株がどの程度の影響を受けるのかを注視しなければならない。
但し、視点を変えれば、FRBやECBと比較して日銀は実質的に昨年から資産買入れの縮小をしており(YCCの効果かもしれない)、各国の市場動向は資産の買い入れ 状況と株価の推移に相関性がみられることである。
つまり、本来であれば今更ながらに日本株が欧米株ほど売られる要素は少ないはずであり、リーマンショック時のような急激な景気悪化などが無ければ、殊更にナーバスになる必要もないと言える。
※今のところ、今後、余程の資源高などによるインフレの再来、及びウクライナでの戦闘の状況変化や、緊張下にある地域での紛争などが落ち着けば急激な景気悪化の要素は見当たらない。

これ以上の資源高や日銀の金融政策の変更などが無いと仮定すれば、日本株は割安なレンジに入ってきた。業績好調にもかかわらずPER20倍に満たないグロース株や、資産株の中では高配当銘柄の押し目買いなどを買い推奨したい。

先月のレポートと同様に、デジタル化銘柄(DX)の各業種で売り込まれた銘柄、半導体関連銘柄、新型コロナ感染の鎮静化に伴う輸出銘柄(電機、機械、自動車の生産回復など)に注目しているが、インフレを計る市場の目安としての鉄や銅、レアメタルなどの素材銘柄の動向からも目が離せない。

以 上
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