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2022年6月27日

【第24回】『日本円の行方②』

<市場概観>

最近のマスメディアでは「円安が進むことで物価高となり生活が苦しくなる」という論調が目につきます。
野党政治家の発言でも「円安によって物価が上がった」「アベノミクスで低金利を続けたために円安になった」「失政だった」という発言が増えています。毎度のことですが、無責任野党による何と短絡的な発言かと呆れますが、選挙が近付けば無責任発言が増えるのは恒例行事となっています。

確かに円安により輸入産品全体が値上がりすることで物価高を説明できますが、実際には輸入した原材料を加工して販売する訳ですから輸入物価の上昇幅がそのまま最終価格に反映される訳ではありません。
 結論から言えば、日本の物価高の最大の要因は石油やガスなどの資源高です。食料品であれば輸入農産物の値上がりが影響します。
 エネルギーのほぼ全量を輸入に頼る日本ではエネルギー資源の価格高騰が物価高に直結します。同時に交易条件の悪化により日本経済にダメージを与えます。よって米国金利との差が開くことも相まって為替が円安方向へと動き易くなる仕組みです。

10数年前から脱炭素が叫ばれるようになり化石燃料の消費を減らす方向性が明確になっていたのですから、再生可能エネルギーや自然エネルギーへの転換が遅れているのは政府与党の責任とも言えますが、ここ最近の資源価格の急激な値上がりは与党政治家の責任ではありません。
 新型コロナ禍からの生産の回復、化石燃料への投資の減少、及びロシアによるウクライナ侵攻などが主な理由であり、それらを見越した投機資金の流入などです。

現状では化石資源への投資が簡単に盛り返すことは無いと思われるため資源高が続く予想となっていますから、それらに備えねばなりません。とは言え、安くなったロシア産の資源は中国やインドなどが大量に買い付けていますし、自然エネルギーや原子力発電への投資も増える見込みです。それらによる需要の減少分が他国に流れる訳ですから、少し長い目で見れば異常な資源高が続くと考える根拠も乏しいと思われます。つまり、いずれは需給調整により価格は落ち着くものと考えています。
 少なくともウクライナ侵攻があった当初は巨額な投機資金がエネルギーや商品市場へと急速に流れ込んだために起こった急騰とも考えられ、足元ではその逆回転が徐々に始まっているようです。
 これらを踏まえると、石油などのエネルギー資源の高騰による貿易収支の悪化→経常収支の悪化→円安と言う構図で円安のかなりの部分が説明できます。もちろん、少子高齢化による国力の低下という日本独特の課題も底流にあります。

では、どのような要因により円安が止まるのかとの視点で見ると、まずはエネルギー価格の低下(もしくは落ち着き)のタイミングを注視することになります。
 日米の市場金利の差は考慮しなければいけませんが、加えてエネルギー価格が高値で推移する環境下では円安が止まる、または短期間に円高に戻るとは考え辛く、同時に外国人観光需要の増加(円買い要因)や日本の主力産業である自動車輸出の回復などを見極めねばなりません。
 まだ暫くは日銀が利上げ方針に傾くとは考え辛く、多少の円高への動きはあったとしても、以前のような100円前後の円高へ戻る可能性は低いと考えています。
 これらの観点から、一般的な国内投資家の投資行動としては、成長性が見込まれる海外の株式や債券に対して、時間をかけるとともに余裕を持って投資を積み上げていくという方針でご検討いただくのが良いのでは無いでしょうか。

以 上

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