JIA証券の『ちょこっとコラム』では、証券投資に関連する様々な情報や、雑学に至るまで、コラム形式で分かりやすく解説していきます。証券投資初心者の方にも今後の参考にして頂ければ、幸いです。
2022年4月18日
<市場概観>
既に2年近くも「医療崩壊だ!」と騒いでいるのに、依然として医療行政、医療体制には変化がありません。一刻も早いデジタル化とオンライン化が進められねばならない時ですが、感染阻止と自粛に頼ることばかりが繰り返されています。 気になるところでは、補助金が止まった飲食業界などでは数か月もすれば廃業、倒産が増加してくると予想していますし、旅行業界においてもJAL(日本航空)が1,770億円の赤字へと業績の下方修正を発表しました。
この期においても与党政治家がしている事は地元へのバラマキに繋がる(繋げられる)姑息な政策提言ばかりであり、若者や現役世代の生活に被害を与え続けています。
世界は大きく変化しています。足踏みしている場合ではありません。
西欧主要国は(金儲けのために)政治不安があるにもかかわらず安くて豊富なロシア資源に群がっていましたが、その流れも変わります。先月からはブラジルやメキシコなどの資源輸出国の通貨が買われるなど、明らかに資金の流れに変化が出てきています。 では、ロシアによるウクライナ侵攻(虐殺)が済んだらこの流れが戻るのかと言えば、当面は期待できないと考えています。西欧(EU諸国)のイデオロギーの変化が政治家の行動に変化を促すからです。西欧主要国の政治家が安易にロシアと妥協することは否定される可能性が高いと思われますし、同時に、現時点ではロシアなどの独裁国家と西側諸国の対立が解消される目処すら全く見えません。
今後の世界経済を俯瞰するに、まず当面は供給不足(ボトルネック)による資源インフレが続きますが、その後は物価高による景気後退への懸念が生じてくることと、資源開発や原発計画の増加などによって資源価格に落ち着きが出てくると考えられます。 海外では既に原発の新規投資計画が続々と出てきています。日本国内ではベースロード電源についての真面な議論すら出来ずにいますが、脱炭素や原発関連投資にも目を向けねばなりません。国内向けのメディアだけを見ていては世界の投資の潮流から置いて行かれます。
投資展望としては、短期と仮定しても1年ほどは資源高が続くことで日本の交易条件にネガティブな状況が続き、消費者動向にも資源高と円安が影響することによる景気の低迷が予想されます。いわゆる内需企業には業績悪化圧力が継続します。
一方、グローバルな観点からは、G7など主要国の投資が政治的に安全な地域へと移転することにより、上述した通り資源国の通貨や金利を押し上げる展開になるのではと予想しています。相対的に高額な資源を買わねばならない西欧諸国の景気低迷が見えてくれば、ユーロの下落と同時に資源を持つ国の通貨が買われる展開が出てきそうです。
数年後については、資源価格の落ち着きと中国経済や新興国の中成長の時期が続くことで市場金利が安定し、世界の投資資金が改めて(比較的情勢の安定した)高金利通貨へと流れることが予想されます。
我々の本質的な課題は、いつまで待っても成長が期待できない日本(日本円)の行方なのかも知れません。
以 上