JIA証券の『ちょこっとコラム』では、証券投資に関連する様々な情報や、雑学に至るまで、コラム形式で分かりやすく解説していきます。証券投資初心者の方にも今後の参考にして頂ければ、幸いです。
2017年4月24日
2016年11月に米大統領選挙で共和党推薦のドナルド・トランプ氏が当選し、当選が確定した当日は大きく売られ日経平均株価は安値16,111円を付けたものの、その後は買い進められ2017年3月2日には一昨年末以来の水準となる19,668円まで上昇しました。
また、NYダウも同期間に18,250ドルから一時21,000ドルを超える水準に達するなど、トランプ氏が大統領になったことで大型の減税や財政出動への期待感から世界の株式市場は大きく上昇しました。
トランプ大統領の主要な経済政策は主に3つに分類されると思われます。
1点目は減税です。多数派である共和党の上下院とも法人税の引き下げを提案しており、トランプ政権にとっては追い風になりそうです。法人税減税は企業の設備投資を促し、雇用の拡大にもつながります。また、2017年2月末の施政方針演説で法人税減税だけでなく中間所得減税も表明し、内需を活性化させようとしています。
2点目は公共事業です。共和党は財政出動に消極的ですので議会との調整は厳しいと思いますが、米国内において高速道路や鉄道、水道が老朽化しており、インフラ整備に力を入れています。議会に対して、公的・民間資金を合わせて1兆ドルのインフラ投資を行う法案成立を求めています。
3点目は規制緩和です。オバマ政権において制定されたドッド・フランク法は金融機関に対する規制強化と消費者保護を強化する法律です。この法律が金融機関の経済行動を阻害し、経営圧迫の要因になっていました。トランプ政権は法案撤廃を目指し経済活動の自由化を促進させようとしています。規制緩和は金融業界のみでなく、エネルギー業界にも広がっており、化石燃料の採掘規制緩和や火力発電所の温室効果ガス排出規制緩和など推進しています。
確かに、トランプ政権はメキシコ国境への壁の建設計画やTPP離脱、日本や中国との貿易について不満をぶつけるなどこれらの保護主義的な発言はドル安株安要因になります。オバマケアの見直し法案が否決され、議会とのぎくしゃくした関係が露呈して、株安が進んだ時期もありました。また、朝鮮半島や中東を巡る政情不安を背景に直近では安値圏で推移しています。
しかしながら 上記のトランプ政権の施策が実行されれば日本企業には追い風になりますし、国内株式市場では①日銀が年間のETFの買付を3.3兆円から6兆円に引き上げたことで日経平均株価などの指数に対して相当のインパクトを与えていること、②大手証券3社が発表した業績予想によると2017年度の主要企業の純利益が10%余り増えることなどから、株式投資を検討するにはいい機会と考えられます。
現在の日本においては、ほぼ金利の無い世界(預金金利はほぼゼロ)に突入しており、円建てでの投資収益を得ることが非常に難しくなっています。それ故、特に地方金融機関などは収益案件に困り、個人向けローンへの傾斜やリスク投資(株式や不動産、海外資産などへの投資)を増やさざるを得ない状況になっています。
異次元の金融政策がまだ暫くは続くであろうことを踏まえれば、配当利回りが2~3%以上もあり業績向上期待がある株式については十分な投資対象になると考えています。また、世界的な(特に先進国での)低金利状態が続くことを前提とすれば成長国への投資も検討すべきと思います。
お願いしたいことは、目先の損益ばかりを意識せず、長く楽しい投資を心掛けるためにも十分に投資研究をした上で投資を実行し、配当や値上がり期待とともに株主優待などもお楽しみいただければと考えている次第です。